昭和27年(1952)の文福堂印房②
大井町に移転した当時の写真をもう1点、別角度から引きの構図で撮影されています。
なにより正面看板の大きさに圧倒されます。
■会社印
■實印(實=実の旧字)
■ミトメ印
■標札
■ゴム印
■名刺印刷
以上の取扱商品の他にも、アイキャッチとなるハンコのイラストや「期日正確」というキャッチフレーズまでしっかり添えられています。
それにも増して驚かされたのが店の外に置かれた三角看板!当時すでに通行人や往来するクルマからの目を意識していたとは、なかなかやるじゃないか、爺っちゃん!
(上から目線に聞こえたら申しわけございません、笑)
実はここから43年後の平成7年(1995)、三代目の私が窮余の一策で東京・五反田の裏通りの片隅に小さな店を出した際、真っ先に思いついたのが偶然にも三角看板でした。上の写真を初めて目にしたのは今からほんの2年前ですから、この三角看板のことはまったく知りませんでしたし、その後私が物心ついたとき、すでに三角看板は店の前から姿を消していました。
これはひょっとしたら、あのとき切羽詰っていた私の背中を、爺っちゃんがそっと押してくれたのかもしれません。そう考えたほうが少しでも心が豊かになれるような気がします。
・・・でもちょっと待った! よく見ると看板に書かれた店名は「文福堂印舗」となっています。これも今回写真をじっくり見て初めて気がつきました。心機一転のつもりか、単なる気まぐれか、それともまさかの発注ミスか? なぜだ爺っちゃん! しかしその答は今となっては永遠のナゾです。