東京新聞/職 解剖図鑑

秀碩の工房が「東京新聞/職 解剖図鑑」で紹介されました

以下、区切り線内文章の著作権は東京新聞に帰属します。


■2006年11月6日付 東京新聞「職 解剖図鑑」

松崎秀夫さん(74)=写真=は印刻職人。

秀碩(しゅうせき)という名で、印章を彫り続けてきた。
世田谷区奥沢に同名の工房を持つ。

「高等小学校を出てからだから、もう60年ほどやっています。
これまでに彫った数ですか? 6万本近いかもしれませんね。

印章が正式に法的な地位を得たのは1873(明治6)年のこと。
太政官布告実印を押す近代の制度が認められた。

かつては一人前の社会人になると、自分の印章を作るような慣習があった。
今は認め印なら100円ショップでも容易に買える。
まして松崎さんのような、手彫りの職人は極めて少ない。
「都内に10人もいないでしょう」

台湾で生まれ1歳の時、父の故郷の金沢に引き揚げた。
「材料さえあれば、一人でできる」ところが気に入り、この道へ。

20代半ばで、大阪印章技術展覧会という全国規模の競技会で金賞を受賞。
その後、さらに研さんを積み、労働大臣検定の印章彫刻一級技能士試験に合格。

手掛けた印章の中には中曽根康弘、鈴木善幸、塩川正十郎、加藤紘一など著名政治家の名も。
だが「後で気づいた人もいます。一般の方の方が時間をくださるので、ゆっくりと彫れるんですよ」と事もなげだ。

良い印材を問うたら「水牛の黒や白の角は粘りがあってよい」という返答だった。


なにせ15年以上も前のことなので定かではありませんが、この取材ならびに掲載についても事前に父・秀碩から知らされたという記憶はありません。

しかし、彼の足跡が簡潔かつ実にわかりやすく記されていて、とかく冗長な文章になりがちな私としてはたいへん参考になります。

この記者さんの文章もまた「プロの仕事」と申せましょう。

■手彫り印鑑職人・秀碩の工房 Webサイトを見る>>